連載開始 球界再編問題について(その1)


長くなってしまったので分割して連載形式で掲示します。


近鉄オリックス合併発表に端を発する一連の球界再編論に長年の野球愛好者として一言物を申させてください。


まず、問題点を整理しましょう。
近鉄バファローズという球団が毎年発生する赤字に耐えられなくなり、オリックスと合併する事により球団経営を終了しよう
としています。
ライブドアー社の出現や今後いくつかの承認が残っており確定ではありませんが)
波及する影響としては、このままパリーグ5球団であれば日程の変則化を招き、やたらに報道されているように10球団、
8球団の1リーグとなるのであれば、野球のマーケットの大幅な縮小、選手・スタッフの雇用問題、なによりもこれまで応援して
きたチームが消えるファンの心中は察するに余りあります。


何故こんな事になってしまったのでしょうか?
こんな意見をよく目にします。
セリーグの一部を除けば過半数の球団は赤字
② 親会社の広告塔として赤字を補填
③ 球界の中心である巨人戦の視聴率が低下し巨人ブランドがその力を失っている
④ 大リーグへのスター選手の流失により大リーグに関心が移っている
⑤ サッカー等他スポーツに人気を食われている

これらの事は基本的に皆事実ではないかと思います。ただし①②は公表されていなので推測の域を出ていませんが。


この逆風状況を踏まえた上で、私の意見は次のポイントに沿って述べます。

a) 現状でも今後も過半数の球団が黒字化できるマーケットが存在する。
b) それにもかかわらず、赤字なのは運営方法が下手だから。それを改善すれば済む事。
c) その為に今後のあり方( 一リーグ化、合併、交流試合等について)


a) マーケットが存在する。
最近一番腹が立つ報道が「野球人気(特にパリーグ)が地に落ちた」というものです。 
事実として、昨年パリーグは1014.4万人の新記録を樹立しました。観客増えてます。
実数ではない? それも事実です。でも実数ではないなりに以前からの基準が変わってなので観客は増えてます。
(6月30日の日刊スポーツで「パリーグ人気の低迷が末期的であるという事も確かだ」と書いた中村泰三という記者よ、
この数字をどう説明する?)


よく「タダ券ばらまいてるんでしょ」という人もいます。全然興味がない試合「タダだから」という理由だけでホントにいきますか、アナタ?

たとえば僕が入場料持つから「鷺宮製作所富士重工」や「亜細亜大対中大」行こうかってって言ってもいかないでしょ、どうですか?


だから球場に足を運ぶ人はやっぱり野球好きなんですよ。


若い方にはピンとこないかもしれませんが、70年代頃のパリーグはそれは悲惨な状況でした。ジャイアンツの9連覇*1
黒い霧事件*2、相次ぐ身売りと1976年には観客動員がパ320万、セ947万と約3倍の差をつけられてしまいます。
TVのスポーツニュースでもスコアが伝えられるだけ、動いている映像なんて見ることが出来ません。そんな惨状を見てきた
だけに今は物凄く観客が増えていると実感しています。
さらに、球場へ足を運ぶ観客が増えただけでなく衛星放送やケーブルTVでほぼ全試合が見ることが出来るようになりました。
球団にはこの放映権料、グッズのロイヤリティ(グッズの種類も飛躍的に増えました) TVゲームや野球カードから
発生するロイヤリティ等が入ってきます。こういった副収入もここ10年位から出現したものです。


ここ20年、30年というレンジで考えて人気(=マーケット)の推移は次のような状況ではないかと感じています。


縮小:巨人、大学野球、社会人野球
横ばいかやや縮小:高校野球
拡大:巨人を除くセリーグパリーグ
大きく拡大:大リーグ


総論としてマーケットは拡大基調にあるにもかかわらず、巨人人気が落ちているのをあたかも、野球全体と同期を取って
いるように誤認されているというのが私の認識です。


実は巨人の試合が毎回Sold−outになるのは、東京ドーム以降の話です。


V9が始まった66年が233万人V9が終わる74年が258万人。258万というのは65試合で割ると3万9千人、旧後楽園の
収容人員が5万人(70年以降)であった事を考えれば毎試合1万人分の空席があった訳です。

王、長嶋が現役で会った時でさえ。


それが東京ドームができると常に5万5千人と発表、確かに最初は良く入りました。それがいつしか巨人戦は満員でなければ
いけないものとなってしまったのです。他スポーツに客を奪われてといいますが、巨人はむしろバブル以前の状態に戻り、
それ以外の球団は(成績等により差はあるものの)全体としては成長産業と考ていいと思います。

(つづく)

*1:1966〜1974

*2:八百長に加担した複数の有名選手が永久追放